「タイトルは、『3・15 千代子の青春』 にしよう!」
2020年秋、『シナリオ稿』を読み終えた増本一彦会長(当時)は、そう桂荘三郎監督に語りかけた。
治安維持法国賠同盟(以下、国賠同盟・同盟)は、2019年6月の第39回全国大会方針で、本作品への「推薦・賛同」の方向を掲げたが、その前途は未知数であった。 同盟は、これまで、「燃やし続けた炎」、「種まく人びと」などのドキュメンタリーは手掛けてきたが、長編劇映画となると桁違いの力量が必要となる。 「失敗したら誰が責任取るのか」などの声が聞こえてくる中でのスタートであった。増本会長の心労のひとつとなっていたであろう。 映画完成を待つ時間が与えられなかったのは無念である。
映画「わが青春……」は、国賠同盟中央本部の強力な主導の下に、都道府県本部・支部、そして心ある会員らが発意し、民主・共同の力で完成の道を切り拓き、 上映運動の劇的展開にこぎつけるという歴史的大事業に発展しつつある。
本稿は、この映画製作・上映運動過程の困難をどう突破して来たかについてのレポートである。
原典:©「治安維持法と現代」44号